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特に人口の急激な増加により、土地・住宅間題を始めとする居住問題は、近年ますます深刻化の度合いを深めており、国際的にも早急に対応することが求められている。このことから、1996年にイスタンブール(トルコ共和国)において、20年ぶりに、また、21世紀最後の国連主催の大会議として、第2回国連人間居住会議(ハビタット?)が開催され、21世紀に向けた人間居住政策の基本方針であるイスタンブール宣言とハビタット・アジェンダが採択された。
国連人間居住センターは、ケニアのナイロビに本部を置き、開発途上国を中心に、都市・居住計画、地域開発、土地管理、災害復興等に関する協力プロジェクトを実施するためのFS(フィジビリティ・スタディ(実施可能性調査))や、開発途上国の都市計画や住宅計画に関わる人材養成のための研修事業、都市問題に関する国際シンポジウムの開催などを行なっているが、1994年5月の第14回人間居住委員会(ナイロビ)で、地域レベルの活動強化が決議され、本部機能の分散化が図られることとなり、アジア太平洋地域とラテンアメリカ地域における事務所の開設が進められることになったものである。
このアジア太平洋地域における事務所設立については、1994年12月に国連人間居住センターからアジア各国に打診があり、1995年4月に「日本政府として関心がある」旨回答がなされたとの情報をもとに、本県として直ちにその誘致に取り組むこととした。誘致にあたっては福岡市と一体となって、国土庁、外務省、自治省の協力を得るとともに、地元財界に対して支援要請を行ない、昨年6月に開催されたハビタット?において条件が合えば誘致したい旨の表明を行なった。また、10月に国内調整が整った結果、12月にアジア太平洋地域における事務所の福岡市設置を前提とした交渉を開始することとなった。本年1月には、同事務所長に就任予定のディサ・ウィラパナアジア太平洋地域担当部長が来福し、事務所設置に向けた1回目の交渉が行われ、2月7日には、ナイロビで2回目の交渉が持たれた。2月20〜21日には、「アクロス福岡」で、国土庁、福岡県、福岡市、国連地域開発センター、国連人間居住センターの主催による「ポストハビタット?福岡国際シンポジウム」が開催され、シンポジウムの基調講演者として来県したワリー・エンダウ国連人間居住センター事務局長と誘致関係者との間で設置確認書の調印が行われた。覚書の調印は4月の予定で、事務所は「アクロス福岡」内に本年8月をめどに開設されることになっている。
現在考えられている福岡事務所(仮称)の開設時の規模は、国連職員4人、ローカルスタッ

 

 

 

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・ポストハビタット?シンポジウムで講演するエンダウ事務局長

 

 

 

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